あまり喋った記憶もない。
2人でいると気まずくてしょうがなかった。
偶然かな?今年1月に話さないとダメなことがあって
<初めて本音で喋るけど。。。>と
親父と人生で1番話した。
で、7月6日に家族全員の前でお医者さんから膵臓癌の末期宣告。
で今月13日に会った。
病室入って<オレ。>って一言。
親父はもう話す事も目を開ける事もできなくなっていた。
なぜか病室に僕と親父だけの時間が。
気まずいな。って思った。
じゃあね、体を起こして立とうとするんですよ。
目も開けれず、喋れもしないのに。
4回ぐらい体を起こして立とうとするんですよ。
もう命を削って立とうと。
僕、親父が嫌いでした。
でもね、何回も何回も立とうとするんですよ。
目も開けられないのに。
親父としたら嫌いだけど
男としてシビれました。
<もういいよ。>ってオレが手を掴んだんです。
じゃあ、振りほどくんですよ。
自分で立ちたかったんでしょうね。
プライドだったんでしょうね。
泣いてたまるかと思って鼻をつまんで上を向いた。
で、病室を出て言った。
で、13日に1回大阪に帰って来たのですが
僕のカンでその日のうちに実家に戻りました。
夜中に着いて病院に行ったら僕一人だった。
モルヒネを打ってもらって寝ていました。
もう意識もないだろうと思って携帯の写真見せて
約束をひとつした。
声には出してない。
ナースが入って来て<声は聞こえてますから話しかけてあげて下さい。>
って言われた。
僕は親父の前では少年に戻ってしまう。
本当に自己中で大嫌いでした。
初めてゆっくり親父の寝顔を見ました。
僕よりも高く綺麗な鼻。
誰が見てもハンサムな甘いマスク。
でもそれよりも、ベットから立とうとした親父に痺れた。
最後の最後でチャラにしたね。
あなたにもらったちょっと高い鼻。
あなたにもらった小さい顔と運動能力。
性格は僕と正反対だけど。
その次の日に逝った。
何度もなんども諦めず
立とうとした時の顔。
男はやっぱ顔だと思いました。
でも、オレなら立ってたよ。
諦めない男。って
今いないじゃん。
だからなるんだよ。
すぐ諦めるなんて
スゲー、ダセーしカッコ悪い。
あっ、それとオレもうすぐ誕生日なんだけど親父。