山梨の八ヶ岳にあるキース・ヘリング美術館に行ってきました。
キース・へリングは、ウォーホルやバスキアとも交流が深かった80年代にニューヨークで活躍したストリートアーティストです。
80年代のアメリカではインフレの激化、失業率の増加、経済の混乱とともに、大都市では治安が悪化していたようです。
実際に作品を見てみたら、これこそキース・へリング!って感じの、ポップで単純に夢や希望を読み取れる作品は多かったです。
でも意外だったのは、政治に対する批判的なメッセージだったり、弱者の立場に立って社会の常識に対する批判的なメッセージの作品が多かったことです。
キース・へリングのこうゆうカウンター的な要素の作品を見て仏教の始まりもそうだよな、と思い出しました。
仏教ができた当時のインドやネパールでは、「バラモン教」という宗教がありました。
バラモン教は、バラモンを最上位とするカースト制度を作っている宗教で、人間がこの世で行った行為(業・カルマ)が原因となって、次の世の生まれ変わりの運命(輪廻)が決まる、という教義があります。
しかし、このカースト制度は、親から子へ受け継がれるため、生まれによって階級が決まってしまい、下の階級の家系はいつまでも奴隷のような生活を強いられていました。
釈迦は、王族出身なのでクシャトリヤ階級という上からナンバー2の階級なのですが、
「 生れによって〈バラモン〉となるのではない。生れによって〈バラモンならざる者〉となるのでもない。行為によって〈バラモン〉なのである。行為によって〈バラモンならざる者〉 なのである」
と言い、仏教を開きました。
生まれで、人間の価値は決まるんじゃない、行為(行い)によって人間の価値は決まる。と言ったんです。
釈迦もキース・へリングも、社会の主流な考え方が間違っていると思ったら、「違う」と表現できる人間ですね。
それが、宗教でも絵でも一緒だと思います。
僕らもそれぞれの表現方法で、間違っていることには「違う」と言える人間になっていきましょう。
〈 今月の真美 〉