仏教にはこんな言葉があります。
「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」
これは一般的に
生きとし生けるものは、すべて仏陀になる可能性 (仏性) をもっており、すべて悟りうる。
と解釈されます。これは
それぞれの個々の中に仏となる可能性である芽があって、次第にその芽が仏という花を咲かせる。だから自分の中にある芽を大事に育てていかなければならない。
という考え方になります。
しかし、道元の解釈の仕方は、違います。
生きとし生けるものが、悉有(全宇宙)であり、その悉有(全宇宙)が仏性である。
とします。これは
僕たちは、自分の中に仏の本性があるのではなく、仏の本性の中でキョロキョロ迷いながら生きている。
ということになり、それに気付くことが重要なのです。
では、この教えは何を意味しているんでしょうか。
ここでいう「仏の本性」は、「幸せな世界」を意味します。
僕らは幸せになりたいと願いますが、人生は楽しいことだけではなく、落ち込むことや、辛いこと、悩むことがあります。
その時、僕らは「幸せな世界」の中に生きていることを忘れてはいけません。
すでに、幸せの中に生きているんです。
そこを理解していると、すでに幸せの中に生きているんだから、落ち込む時は落ち込めばいいし、辛い時は苦しめばいい、悩む時は悩めばいい
と、考えられます。
その時その時を素直に受け入れて生きている状態が、煩悩がない状態、つまり幸せな状態なのです。
苦しみから逃れようとするから、苦しくなるんです。
苦しい時は苦しみの中にいればいいんです。
【今月の真美】