今回は、「八大人覚(はちだいにんがく)」についてです。
「八大人覚」とは、「八・大人・覚」に分けられます。
「大人(だいにん)として覚知すべきこと八つ」です。
ここでいう大人とは、ただ生物的に成長しただけのオトナではなく、
真に人間としてふさわしい心を持ち、行動できる人物を言います。
前回の記事でいう菩薩のことです。
つまり、悟りを求める人が心得るべき8つ、のことです。
この「八大人覚」はブッダがこの世を去る直前、多くの弟子や動物たちの前で説かれたものです。
8つ説明すると長くなるんで今回は①〜④まで説明し、来月残りの4つを説明します。
①「小欲(しょうよく)」
人間に起きる欲望は5つあります。
財欲、色欲、飲食欲、名誉欲、睡眠欲です。
このうち、自分がまだ満足していないものを、満足させようとしないことを小欲と言います。
この「小欲」を実践すれば、自分の意見を曲げてまで他人に媚びへつらい、他人に迎合しようとはしません。
また、感官の対象に心が奪われることもなくなります。
だから、何かに憂えたり、怖れることはなく、心に余裕があり、不足することがありません。
②「知足(ちそく)」
これは、足るを知る、ということです。
普通、足るを知る、というと、与えられたもので満足する、と考えがちですが、
ものごとには、与えられるものだけではなく、自分で努力して手に入れたものもあります。
例えば、知識やスキルなどです。
その努力して得た知識やスキルなども、独り占めしないで、他者にも惜しみなく与えましょうと言うことです。
前回の記事の「布施」にも近いですね。
③「楽寂静(ぎょうじゃくじょう)」
喧騒の場所を離れて、独り静かな場所に居することです。
ただ、僕はこの「楽寂静」の本当の意味は、単に都会を離れて田舎に行けばいいという意味だとは思いません。
そうゆう物理的な解決ではなく、
たとえ都会や大勢の人の中でも、多数派の意見に流されることなく、本当の自分の考えはなんなんなのか、
常に考え、自分の心としっかり向き合うこと。さらにそれを主張できることを言います。
④「勤精進(ごんしょうじん)」
これは精進することです。
善いことに中断なく勤めることを精進と言います。
純粋で混じりけがなく、進んで退かないことです。
例えば、少ない水でも、常に流れていれば、石に穴を空けます。
善いと思ったことは、停滞せず退かない、常に前に進むことです。
これが精進すると言うことです。
以上、今回は「八大人覚」の最初の4つです。来月は残り4つを説明します。
《今月の真美》